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ビスマス結晶実験

Bi 83  Bismuth 2022.8.24 experiments

ビスマス/蒼鉛/bismuth

Bi元素番号83

モース硬度2~2.5

融点271.3℃ 密度9.78g/㎤(鉄7.874/㎤)

本来白銀色の金属(酸素に触れず方また部分は美しい白銀)

酸化膜の作用で様々な色に煌めく

階段型に積み上がった様な結晶は骸晶と呼ばれ、鑑賞用に販売される。

医薬品・低い融点や低い毒性を活かしてハンダやガラスに利用される。


酸化膜に覆われた美しい骸晶であるビスマスの結晶標本は人工的に作成したものです。

安ければ1500円、高くなると3000円ほどで販売しています。

自然標本ではないため、完成した標本を購入するはなんだか悔しいため、今まで購入せずにきました。

どうせ購入するなら自分で作ってみたい。

しかしビスマスはそこそこ高級と聞いていた上、気楽にそこらへんでは売っていません。しかし、娘の読んでいたある小説の中で、理科の先生が実験で作成している場面があり、やはりやってみよう!!と決意しました。

 


もともといつかやってみたいと思っていたため、基本的な材料と用具は大体把握していました。

融点が低いビスマスは普通にカセットコンロで溶かすことができます(中心に火がないのがやや使いにくいですが)。

その他の使用する道具はステンレスで統一します。

アルミや銅は溶け出して酸化膜に影響してしまいます。

プリンカップ(大昔のもの)笑バット、カップを載せる加熱用の網(重さで曲がりますが耐えます)酸化膜を取る用のフォーク、結晶回収用のピンセット、張り付き剥がし用及び、熱したカップを持ち上げたりにつかうラジオペンチ、ペンチ、レンチ、ビスマス結晶を載せるのにふるいの底。工具やプリンカップ以外は百均製品です。


ビスマスは1キロで5000~6000円と聞いていたのですが、それより少し安く購入できました。

ネットやYouTubeでリサーチしたところ、2Kgスタートが多い様でしたが、よく見る標本の重さを考えても2キロの結晶…我が家のプリンカップサイズを考えて1kgでもいける!!と1kg購入しました。1Kgでも見た目以上に重い。



9:40ビスマス加熱開始
9:40ビスマス加熱開始
9:44少し溶け始める
9:44少し溶け始める
10:06追加の分もほぼ溶けた
10:06追加の分もほぼ溶けた
10:12火を止める
10:12火を止める

ビスマスチップをステンレスのカップ(直径7cmほど)に入れ溶かします。はじめの分が解けたら少し追加してとりあえず深さ3cmくらいにしました。すべてのチップが解ける頃、表面が酸化して膜ができてくるのでとっていきます。とらないと酸化した部分から固まってしまいます。しばらく取ると銀色〜金色の面になるので火を止めます。リサーチによると表面に皺が寄ったくらいで結晶ができ始めると言いますがそれだとちょっと早い感じでした。これは環境によると思います。表面に四角が見えてくるので、それをピンセットで取り上げます。すると小さく四角い結晶を取り出すことができます。

もう少し育てたいと思うときはクリップを入れて結晶の空き始める種とします。


ピンセットで取り出したもの
ピンセットで取り出したもの
育った結晶を引き上げるところ
育った結晶を引き上げるところ
容器内にできた結晶
容器内にできた結晶
再度とかして何回か繰り返す
再度とかして何回か繰り返す

ピンセットで取り出すとそのピンセットにくっついてしまうのでピンセットその2やラジオペンチで外しました。

ラジペンやピンセットやペンチは何本かあっても良い感じです。

種を使って育てた結晶もタイミングを間違うと側面や底面にくっついてしまうので、くっつきかけ中のものはラジペンやペンチでなるべく取り出しました。

側面や底面が固まってしまった後は、まだ溶けているビスマスを一旦他容器に移します(このときはペンチやプライヤーなど、パワーのある得物を使います。

容器中に良い結晶ができていればそこを外したり、あまり良くなければ再度溶かして、また同様の手順で結晶をとります。

ビスマスの硬度2.5~3と柔らかく、厚みがない部分はペンチなどで簡単に外せます。逆に言えばせっかくの結晶も壊れやすいので、ピンセットから外したり取り出したりするときは、『柔らかい』と思いながら扱ってください。


ビスマスは一度でうまくいかなくとも何度も再溶解してチャレンジすることが出来ます。やっていくうちに加減もわかってきますので、結晶を取り出すこと自体は決して難しくはありません。

高温になるため、火傷に注意することと、液体金属に水を入れると爆発するのでそこら辺をしっかり理解して行うことの方が重要です。

流し出し方式で作った結晶
流し出し方式で作った結晶
3cmほどの骸晶も出来ました
3cmほどの骸晶も出来ました


1Kgのビスマスを用意して

変質した酸化ビスマスが60g

残液を固めたものが349g残りました。約600gほどの結晶を取り出したことになります。

すべての結晶を取り出した時11:58分でした。約2時間半の作業です。

中央にぽちっと液体がはみ出ているのは、液体から個体になり堆積が増えた(氷と一緒)からです。



ビスマス結晶の作り方は書籍や、Web、YouTubeで簡単に検索出来ます。

今回、どのくらいのビスマスを用意するべきかが一番悩みました。

出来上がった600g分のビスマス結晶はとてもたくさんあります。

上のカップで固めたビスマスが349gなことを考えると、とりあずやってみて、いくつか良い結晶を取り出すには用具にもよりますが500gあれば足りると思います。

1Kg分やると、やっているうちに慣れてきて上手になるし、結局また作りたくなるので1Kgより多くても構わないかもしれませんが、こんなにたくさんのビスマス結晶どうする?てなります(笑)

あとは直径7cmほどのプリンカップを使用しましたが、もう少し径は小さめで深いものの方が縦長に大きな結晶は育てやすいと思いました。


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